いちじくを知る ①


いちじくの原産地はアラビア半島南部の乾燥した亜熱帯地方とされています。栽培の歴史は古く、原産地に近い地中海沿岸では6千年以上前からと言われています。エデンの園で禁断の果実を食べたアダムとイブが、自分たちが裸でいることに気づき、いちじくの葉でつくった腰みのを身に着けたという『旧約聖書』の話の中からも、その当時にふつうに栽培されていたことがわかります。

いちじくが日本へ渡来したのは江戸時代のことで、ペルシャから中国を経て、長崎にもたらされました。その時のいちじくが、現在も栽培されている、蓬莱柿(ほうらいし)だと考えられています。当時としては、果樹としてではなく、薬用の木として伝わりました。そのためか現在でもいちじくはさまざまな民間療法に用いられ、「健康果実」とも言えるでしょう。

世界における生産地は、トルコ、エジプト、アルジェリアのほか、アフリカ、ヨーロッパの地中海沿岸、アメリカ・カリフォルニアなどです。日本では、愛知県、和歌山県、兵庫県、大阪府、福岡県などです。

 いちじくは、独特の風味と食味を備え、低カロリー高ミネラルの果実です。以前は限られた産地の人たちや、庭先に植えている人だけが本当の美味しさを知る果実でしたが、最近はテーブルフルーツとして多くの人々に親しまれるようになってきました。これまで、いちじくの経済栽培は消費地に近い都市近郊に限られてきました。それは、風味と食味を出すため樹上で完熟させる必要がある一方、傷みやすく日持ち(店持ち)が悪く、鮮度も要求されるという、いちじく特有の性質によるものです。

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